「諺(ことわざ)」でもかつお節は人気者

古い時代から食卓になじまれている鰹・鰹節は、諺でも人気者です。 鈴木棠三編『古事ことわざ辞典』(正続、東京堂出版)で、編者は「ことわざは人間の生活経験の知恵」だと言っています。

◆生活の知恵での鰹節◆

「鰹節と砥石(といし)の借入れはない」と「鰹節と巻紙の借入はない」は同じ意味をいう諺。
鰹節も砥石も巻紙も「使えば減る」から、借りるということはなく、貰うことと同じになるから。という戒めで、浄瑠璃「博多小女郎波枕」の名文句「させほせ傘、人に貸すな鰹節」が出典だと『古事ことわざ辞典』に出ています。その「させほせ傘」はまた「させ乾せ傘、壁に立てな傘、人に貸すな傘」という諺もあって、それが背後にあるのだそうです。これは、からかさ(傘)を長持ちさせる法は、しまいきりにしないで使うこと。濡れたら乾かしておくこと。壁に立てかけないこと。人に貸さないこと。という生活の知恵があるそうです。なかなか奥が深いのですね。

他人をダシに使う、口実にする意味で「鰹節にする」という言い方もあります。 江戸時代の滑稽本『六阿弥陀詣』には、田舎の得意を鰹節にして、芝居から吉原と出掛け・・・・・・があって、吉原という遊里までゆくお得意さま接待ぶりは、いつの世にも、というのでしょうか。時事川柳の風景です。



◆形(なり)よく花鰹に◆

鰹掻(か)こなら形(なり)掻けよ」という諺−−これは、鰹節をかくなら薄く削れという戒めで、鰹を薄く細かく削ったものはダシがよくとれるので「花鰹」とも言います。日本鰹節協会発行の『鰹節』には、この花鰹づくりを次のように教えています。

鰹節の上皮のよくないところを削り取り、赤身ばかりにしたものを、逆手に持った小刀で心静かに削ると、よく出来上がる。

川柳は花鰹にも焦点をあてて、次のような風景を描きます。

●阿蘭陀(オランダ)の細字のやうな花かつお
●花かつを下女鼻息で吹き散らし
●花鰹葉桜などに下女はかき
●花鰹下女はだいなし葉削り

第二句以下は失礼ですね。今では「下女」など居なくなり、「お手伝いさん」は、葉削りのように、あとの二句のように厚く削る乱暴は致しません。




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